「7月の影送り」     


今日は雨だから、影送りができない─。





蝋燭を見ていた。
暗い室内、密度の濃い空気、そして乾いている喉。
先ほどまでこのベッドには彼がいた。あの黒い髪をゆっくりと靡かせ、私を抱いた。
私たちは流れ落ちる激しい滝のような愛欲のなかに溺れていた。

ひとつ、咳をする。そのたびに少し怖くなる。
掠れた声で大丈夫だ心配するなと私は彼に言うけれど、彼はいつでもその影りある瞳でそれを微かに
疑う。

─いつもならば。

最近、彼は私の名を呼ばない。
思い出したくはない鈍い情景が、私の脳裏を支配する。


「アンドレ、もう眠った?」
そう尋ねても、彼は私に背中を向けてそっと寝息をたてる。
その、広い背中。
逞しい、男の背中。私は上半身を起こし、その背に触れてみる。なんの気はなしに、
そこに文字を書いた。擽るように、そして悪戯するように。
「いけない。もうそろそろ部屋に戻ることにするよ」
その感触に気づいたのか突然目を開けてアンドレは、慌てて身支度を整え、軽いキスをして部屋を
出ていった。おやすみオスカル、たった一言そう言って。

彼は、扉をバタンと閉めた。
軋みとともに、その音が乾いた部屋にこだまする。
心なし、胸の奥が寂しい。

そんなことあるわけがないじゃないかと、半ば私は自嘲する。
彼が私に飽きたなどと─。
そうだ、そんなわけない。彼は最近以前にも増して私を求めてくるし、今夜だって。

頭の中で、いろいろな出来事を順序だてて、理論的に考えようとする。どこかで梟の鳴き声がする。
気分を落ち着かせたい。この気持ちをどこかに吐き出したい。

私は、日記帳を開いた。
そして気がつけば、ある日の出来事が綴られているページを、目で追っていた─。




「7月3日

少しだけ、喀血の苦しみに慣れた。苦しくなると、私はいつでもアンドレの顔を思い出す。
あの笑顔で、あの優しき声で、ゆっくりと背中を擦ってもらっているところを心のどこかで描く。
そうすると随分気持ちが楽になり、少しだけ苦しみが和らぐ。そういえば、最近どうもアンドレの
様子が気にかかる。本当に彼の右目は大丈夫なのだろうか。いくら心配しても、本人は平気だと言って
笑う。だからそれ以上、何もいえなくなってしまう。
 今日は2回ほど発作が起きる。暴動鎮圧の報告をしに連帯本部へ行く。あそこはいつでも荒々しい。
まるでパリの縮図のようだ。本当は人々は何を求めているのだろう。
本部からの帰りに苦しくなる。幸いなことにアンドレは武器の手入れ当番のためいなかったが、アラ
ンが中庭にいた。血を吐いているところは見られてはいないはずだが、あの表情は何か訝しんでいる
かもしれない。疑われると困るので、私のほうからアランに近づいた。
アランは影送りをしていたのだという。それを知らなかった私に、彼は影送りを教えてくれた。
今日のような晴れている日に、地面に映っている影をじっと見つめ、それからすぐに天を仰ぐ。
すると空には地面に映っていた影が、綺麗に浮かんでいるのだ。初めてやってみたが、なかなか
うまくいかない。うまく影が空に映った時に、願い事を心の中で唱えると、いつか叶うとアランは
教えてくれた。彼が兵舎に戻った後、私は一人でこっそりと影送りをやってみた。
一度だけ成功する。夕方近くの空にはくっきりと私の姿が映っており、すばやく願いを心の中で口に
した。

どうか─。

どうか一瞬でも長く、愛する男性と共にいられますように─。」



つい先日のことなのに、まるでもう一年も前のことのように。
こんな日もあったなと、思い出しながら軽くまた咳をする。
胸が疼く。一人でいるのが怖い。

私はいつの間に、こんなに脆くなったのだろう?

自分でも滑稽だと思う。
私は、相手がどんな男であっても、どこをどう攻めれば剣の試合に勝てるかを知ってる。
銃はどのように扱えばいいのかを知ってる。
命令というものをどう的確に伝達すべきかを知ってる。

けれど私は知らない。

愛する男性を前に、どういう態度をとればいいのか。
抱いてほしい時はどうすればいいのか。
一人で眠れない夜はどう過ごせばいいのか。

本当に。
愛というものはこんなにも人間を変えてしまうものなのだろうか。
仕事など手につくわけがない。
私らしくないと思う。隊長として失格でもあると思う。
けれど─。


けれど。



今はそれさえも、許してしまいそうだ。




─蝋燭が揺れてる。消えかかった蝋燭は陽炎のようにゆらゆらと。
外はまだ薄闇だ。梟の鳴き声はもうしない。

ただ、静かな部屋。何もない、無機質な部屋。
ベッドの上、乱れているシーツだけが、妙に生々しい。



今日も日差しは高く、そして暴動は続くのだろうか─。



                      *


                      *

       
                      *



蝋燭が揺れる。
それだけはなんとか見える。
…今夜も、彼女を求めずにはいられなかった。

このところ、オスカルが側にいようものなら、すぐにでも抱きしめてしまいたくなる。
抱きしめれば、唇がほしくなる。唇が合わされば、肌のぬくもりがほしくなる。

オスカルの部屋から戻ってきてからというもの、妙に喉が乾いている。
小さなテーブルに置いてあるグラスに残された水を一息に飲みほすと、どこからか梟の鳴き声が聞こえ
た。まだ朝は遠い。本当ならばずっと彼女と一緒にいたかった。
けれど、今の俺にはそれができない。彼女の名を呼ぶことさえも辛い。

今夜も彼女は小さな咳を幾度か繰り返した。
案じれば案じるほど、俺の唇は固まる。言葉が出てこない。

思い出すことさえも苦い出来事が、溶けるようにして記憶の中に流れ込んでくる─。



「目のことを誰にも言ってほしくないのであれば、一日でも早く衛兵隊を除隊してもらいたい」

その言葉を聞いたのは5日前。
ジェローデルは突然面会にやってきた。
広いつばのある帽子をかぶり、身なりも多少変えていることが分かった。
彼には大分前から分かっていたという。俺の目が、駄目になりつつあることを。
「君のことを恨んでいるわけではない。以前の私はまだ若すぎた。今の私には、君はオスカルを、
オスカルは君を必要としていることがよくわかる。しかしだからこそ。
私は君に言っておきたい。パリは今すぐにでも血の海になるだろう。君の目の状態を考えても、
君がオスカルを守りきれるとは思えない。私はジャルジェ将軍に報告するつもりだ。それが嫌ならば、
すぐにでもこの隊を除隊してほしい。大切な人を、目の不自由な君に任せられるほど、私は広い
心の持ち主ではない」

そんな言葉を、7月の空の下で聞いた。
確か空は高く、そしてどこまでも澄んでいて。

彼が言うことはもっともだった。
どこまでもそれは正論で、しかも一点の曇りもないもの。

何を怯えているのだと、自分自身に何度も問うた。けれどそこには答えなどなく、ただ彼女の金色の
髪が、ゆっくりと振り返り艶やかに笑う姿が。何度も何度も、どこかで俺を責める。

俺は間違いなく彼女を愛してる。
それが強ければ強いほど、本当にこのままでいいのかと気持ちが焦る。
ジェローデルはかつて愛するオスカルのために身を引いた。彼はそれが愛の証と思ったのだろう。
少し前まで、俺はそんなこと考えもしなかった。愛していれば絶対に、愛しぬき、守り抜くこと
が、その証だと思ってきた。けれどもしかしたら、俺の愛しかたは間違っていたのかもしれない。

もういちど少なくなった水を飲んだ。
ひんやりと、喉の奥に静けさが蘇る。今ごろオスカルは眠っているだろうか。

ジェローデルに会って以来、オスカルにどう接していいかわからなく戸惑う日々が続いている。
顔を見れば、唇を合わせれば、肌を重ねれば、共にありたいという願望とそれに対する小さな疑問が
渦巻いて、俺の態度をぎこちないものに変える。彼女の名を呼ぶと、綻び始めた花のような笑顔が
俺に向けられる。どこまでもその瞳は青くそしてまっすぐで、それが俺の心を捉えて離さない。

だけど。


だけど─。


結局俺はそうやって何日も逃げてる。


見上げれば、もう外は明け方近く。
夜があける前に、この気持ちを落ち着かせたい。何かにこの気持ちを叩きつけたい。


そう思い日記帳を開いたが、一番読みたくはないページが悪戯のように開かれる─。



「7月2日

時代が、時の唸り声を上げて、近づいてくるのがわかる。兵舎でも最近は暴動やら革命といった
言葉が乱発される。本当にこれが新しい何かなのだろうか。最近オスカルの様子がおかしいことに気
づく。顔色が悪く、だるそうだ。時々軽く咳き込んでいる。あの咳はあまりいいものではない。
何度も何度も医者に行けと言ってみるが、案の定聞く耳をもたない。
 本当に、俺は何をやっているのだろうか。ジェローデルにあの言葉を言われて以来、気持ちが
蠢いてばかりだ。オスカルの姿を追えば追うほどに、手に入れた憧れが遠のくように、彼女がどこかに
行ってしまうのではないかという気持ちに襲われる。右目の視力はほぼなくなってしまった。
蝋燭の火だけが、微かに見えるだけだ。怖い。あいつの姿が見られなくなるのかと思うと俺は怖い。
何もかも忘れたかった。こんな気持ちになったのは初めてだったかもしれない。本当に、
本当にオスカルは幸せなのか?あいつは今まで男として生きてきて、今は尚男であることを求められて
いる。オスカルは、俺の前ではごく普通の笑顔の優しい女性に戻る。花のように、笑う。
そしていつも俺の目を気遣う。もしかしてあの時ジェローデルと結婚していたほうが、オスカルは
幸せだったのかもしれない。俺のことなどどうでもいい。あいつの幸せしか、俺は望んでいない。
守りきれるのか、この俺で。オスカルを守りきれるのか?いずれパリは戦場になるだろう。
あいつは平民に銃をむけることなどできやしない。俺はオスカルを、戦場になどいかせたくない。
本当に何もかもわからなくなってしまった。夕方近く、オスカルが連帯本部に出かける。やはり顔色が
悪い。俺は武器の手入れ当番だったが、集中できるわけがなく街に出た。夜の女たちがもう客引きをして
いて、俺は一人の女に声をかけられた。金色の髪に息が詰まる。そして気がついたら彼女と同じ部屋に
足を進めていた。ベッドに誘われる。俺は彼女を抱こうと思った。けれどできなかった。俺はもう、
オスカル以外の女性を抱くことなど絶対にできないだろう。それほどにまで、愛してしまった。
 足早に兵舎に戻った。そこでオスカルの姿を見つけた。アランと楽しそうに談笑している。アランが
去ってからも、彼女は一人で空と地面を交互に見上げては、何やら楽しげに笑っていた。
結局俺は、何も話し掛けることができずに、ただじっと彼女を見てた。夕闇が迫り、オスカルが中庭を
去るまで、俺はただオスカルだけを見ていた。」



たった幾日か前の出来事が、今ははるか遠いものとしてよみがえる。
この時の俺はどうかしていた。どうにもならない苦しみを、愛する女性以外の身体を抱くことで、一瞬
でもそれから逃れようとしていたのだから。

いつのまにか梟の鳴き声はやんでいて、空が白み始める。


気持ちは固まっているんだ。何度も迷いはしたが、やはり俺にはほかにとるべき道は見つからない。
旦那様に報告されたとしても、誰に、何を言われたとしても。
もうこの気持ちを変えることはできない。

大きく息を吸う。
薄いカーテンが夜明けの風を受けてゆっくりと戯れる。


今日も動乱は起き、そして俺たちはどこにいくのだろうか─。


                     *


                     *


                     *


面会日だということをすっかり忘れていた。
昨夜あまり眠れなかったせいか、身体のあちらこちらが妙に重たい。
朝から少し頭痛がする。

執務室のカーテンを開け、私はチラリと賑やかなその光景を目にする。
兵士たちはまるで子供にかえったように、久しぶりの家族との再会を楽しんでいる。

その中にアランの姿を見つけた。
目を細め、眩しそうにその光景を見ている。少し前、彼はいつでもあの集団の真中にいて、
そこには可愛らしい妹が、小さく笑って立っていた。
そういえば、あの影送りを教えてもらった日、彼は何を願っていたのだろう。

軽く眩暈を覚える。
7月の空はあまりにも瑞々しく光を注ぎ込み、私はそれに軽く眩暈を覚える。
兵士たちの笑い声、女たちのはしゃぎ声、群れをなす幸せな家族たち。


アンドレは、どこにもいない─。



私は覚めた紅茶を一口啜り、そして中庭へと出かけた。


緑は、萌えるように小さな並木道を覆っていて、その少し奥に中庭はある。
考え事がある時、心に迷いがある時、私はいつもこの場所にくる。

しかし今日は先客がいた。

アンドレは気だるい午後の風に髪を預けて、
ただひとり座り込んでいた。


「アンドレ─」
意外なほど上ずった声が出る。
彼はいつものような温かい笑顔で、私の姿を捉える。
その瞳の優しさに、私はつい甘えてしまいそうだ。

「おまえでもこんなところに来るのか?」
彼の声は変わらぬ声、強くて心地よい声。
「たまにな。おまえのほうこそどうした?ほかの兵士たちは…」

最後まで言葉を繋ぐ前に、アンドレは私の手を握った。
軽く握り、そして何度も愛おしむようにそっと撫でた。

「俺には面会に来る客もいないんでね」
悪戯がばれた少年のように、彼は笑う。
「私もだ。お互いあぶれものだな」
「まったくだ」

私はアンドレの隣にそっと腰掛けた。
緑の草は、柔らかい絨毯を作る。

「オスカル、ごめん」
小さな彼の呟きを聞きながら、私の身体はアンドレに抱きすくめられた。

「何を謝っている?」
涙が出そうだ。理由などない。儚いほどに、脆くなってしまったこの心。
その腕の心地よさに目を閉じる。日差しが否応なしに降り注いでいるのがわかる。

「ここ何日か、俺はおまえに背を向けて眠っていた。それから、─おまえの名を呼ばなかった」
「…何故?」
答えを聞くのが怖い。答えなどもしかしてわからないほうがいいのかもしれない。
「とても、疲れてい─」
「嘘だ」

アンドレ。そんな嘘、顔を見ればすぐにでもわかる。
私はそんなに単純に、おまえを愛したのではない。

「分かったよ、本当のことを言う」
「…」
「笑わないか?」
「さあ、どうかな」

アンドレの手が、私の身体をゆっくりと撫で始めた。
あまりにも甘美で妖艶なその愛撫に、心が溶けそうになる。

「嫉妬していた」
「…え?」

「この間、おまえはアランと二人でここで楽しそうに話していた。おまえは本当に楽しそうだった。
だから嫉妬してしまった」
「…それだけ?」
「ああ、それだけだ」

私は笑った。何に対してでもなく。いや、多分、自分に対して。
「おかしいか?俺が嫉妬して」
「ああ、おかしい。大いにおかしいな」
アンドレも、また笑った。

風が、頬を撫でて通り過ぎてゆく。


「私に、飽きたのかと…。一時は本気でそう思った」
「はは、それは絶大なる勘違いだな」

たぶん─。
さっきの言葉。彼が嫉妬していたというのは。
あれは、きっと

嘘だ。


本当はもっと別の事情があったはずだ。
かなり深い迷いが彼の中にあったはずだ。しかし今の彼には、その面影はない。
けれど、もうそんなことはいい。
今の彼の顔は、私を愛してると物語っているから。そしてそれがわかるほど、私もまた彼を愛してい
るから。

「迷いのない、いい顔をしている」
独り言のように私は呟いた。
「オスカル…」

「確かに迷ったことがあったのは事実だ。けれどとっくに決着はついてるんだ」
「どういうふうに?」
目配せでもするようにアンドレは笑ってから小さく答えた。
「何も変わらないってことさ。何も変わらず、俺はいつまでもおまえの側にいるってこと。
それが決着だ」
「はは、おまえの決着とやらはよくわからないな」
「口下手だからな、俺は」
「…馬鹿」

そう言ってから軽く口付けをした。

─もうじき昼の休憩が終わる。そうしたらまたいつもの現実に戻らねばならない。
束の間の安らぎは、そう長くは続かない。

「アランと何を話していたんだ?」
「気になるのか?」
「一応な」

口笛をひとつ吹いてアンドレは、右腕を私の首に絡ませる。

「影送りを教わっていた」
「影送り?」
「そうだ。おまえだって知ってるだろう?」
「小さいころ、よくそれで遊んだよ。綺麗に影が空に映れば、願い事が叶う」

「うわっ…」
アンドレはいつの間にか私の身体を持ち上げて立ち上がった。
「何をするんだ?」
「決まってるだろう、俺とおまえの影送りだ」

私は彼に抱きかかえられたまま、ゆっくりと夏の地面を見つめた。
「10秒数えるんだぞ、アンドレ」
「わかってる」



─そして、空を、仰いだ。


私はしっかりと彼につかまって、空を見上げた。

そこには、焼き付けられたかのような、私たちの影。


「綺麗だな」
「ああ、綺麗だ」

アンドレは私をおろし、そしてそのまま抱き合った。
太陽のにおいがする。懐かしくて、温かくて、けれど新しいにおいだ。

「アンドレ、願いごとはしたか?」
「もちろんだ。おまえは何を願った?」

「教えられないな。私は口下手だからな」
「なるほど」

風はやんでいた。
木の側で、小さな鳥が囀っている。美しい夏の午後。
束の間の、

夏の午後。

「もうすぐおまえの誕生日だな、何がほしい?」
「ほしいものはないが、約束してほしいことはあるな」
「なに?」
「俺の誕生日には、もう一度二人で影送りがしたい。約束してくれるか?」


瞬時に、いろいろなことが頭をよぎる。
何度も何度も血を吐いたこと。夜になると苦しさが増し、眠れない日々が続くこと。
今にも、膨れ上がった膿が爆発しそうなパリ。

そして私は答えた。

「もちろんだ。そんな簡単なことでいいのか?」
「ウィ…」


─昼の休憩の終わりを告げる鐘が、誇らしげに鳴り響く。

見上げると、そこには私たちの影。
私の影、アンドレの影、

二人の影。
やがてそれは青い空に同化して、少しずつ消えてゆく。


明日の天気はどうだろうか。
願わくば、どうか雨よ降らないで。私たちのこの影を、いつまでもこの空に残して。
明日がだめならば、せめて今日だけ。


この影を、7月の空に




─残して。



アンドレは先に歩き出し、早くおいでと手招きをする。
私は小さく頷いて、いつもと同じくまっすぐに、







ゆっくりと歩き始めた─。



fin.