こんにちは

「やったぞ!女の子だ!」
ベルナールおじちゃんが大きな声を出している。なんだろう?
僕は不思議に思ってベッドから降りると父様の所に行ってみた。
父様も、おじちゃんも凄く嬉しそうにしている・・。
「なんだ、アンジュ起きちまったのか・・」
父様が僕を抱っこしてくれる。父様のオヒゲが僕のホッペに当たる。少しチクチクして痛いや・・・。
でも、父様に抱っこしてもらえるのがとっても嬉しいから、痛くたって、僕も一緒にスリスリするんだ・・・。
「ねえ、父様どうしたの?」
僕が聞いてみると、父様が笑って
「アンジュはお兄ちゃんだ・・・!」と言って、僕をギュ−ッとする。
ちょっと苦しくて、バタバタすると、「悪い悪い・・」とまた笑った。
僕がお兄ちゃん?えっ・・?
「そう、ロザリーおばちゃんが赤ちゃん産んだんだよ・・」
ベルナールおじちゃんが笑って言った。
「じゃあ、僕お兄ちゃんになったんだね!」
僕も嬉しくて、おじちゃんに抱きついた。やった、僕お兄ちゃんになったんだ!
「そうだ、アンジュはお兄ちゃんになったんだ・・」
父様が僕の頭をクシャクシャにしながら、また抱っこしてくれた。
「早く、僕も見たい!弟なの?それとも妹!?」
「どっちだと思う?」
おじちゃんが意地悪そうに言う。もう、早く教えてくれてもいいじゃないか・・・!僕は
ブーッと顔を膨らませると、今度は父様とおじちゃんが笑う。
「それは、明日のお楽しみだ・・・」
「そんなの、ずるいよー!」
そう、僕が言い返すと父様がまた大きな声で笑う。
「ウソだよ。アンジュ、妹だ・・・」
ベルナールおじちゃんが、片目をつぶって僕に教えてくれる。
「妹なの!僕ね妹が欲しかったの!だって、レネのところの妹が可愛いくて、僕も妹が出来たら、絶対守ってやろうって思ってたんだよ!」
「そうかあ・・・。じゃあ、アンジュはお姫様を守るナイトだな・・・」
ベルナールおじちゃんが、僕の頭を撫でてくれる。
「うん!」
そう、答えると父様とおじちゃんがまた笑った。

次の朝、僕は父様と一緒にロザリーおばちゃんの所に行った。
おばちゃんはスッゴク綺麗で、とっても嬉しそうだった。
「アンジュ、来てくれたの?アランまで・・・」
「どうだ?調子はよ・・」
父様が聞くと、おばちゃんはベッドの上に起きた。
僕はおばちゃんの側に座る。そうすると、おばちゃんは優しく僕を抱っこしてくれた。
そして、ホッペにキスをしてくれる。おばちゃんに抱っこしてもらって、キスをしてもらうとなんだかとっても気持ちがいいや・・・。僕の母様もこんなのだったのかな・・・?

おばちゃんの隣に小さなベッドがあった。僕が覗き込むと、赤ちゃんが眠っていた。
父様が嬉しそうに
「こりゃあ、ベッピンになるぞお。ほーら、アンジュ見てみろ」
「でも、まだフニャフニャしているよ・・。父様」
「お前もな、こうだったの」
僕も・・・?へえー、そうなんだ・・。すると、おばちゃんが笑う。
「とっても、元気な子よ。アンジュが生まれた時を思い出しちゃったわ・・・」
「僕が生まれた時?」
「そうよ・・・。アンジュもね、とっても元気に生まれてきたのよ。本当に、元気な泣き声でね・・」
「そうだったな・・・」
父様が僕を優しく見つめる。それから、僕を抱っこすると
「お前は元気な声だったぞ・・。そりゃあ、母様もビックリしたくらいだ。きっと、この子はヤンチャになるぞ・・って皆が思ったのさ。期待通り、お前はヤンチャになったよ・・」
「でも、今日からは僕お兄ちゃんだもん。もう、お兄ちゃんだもん」
僕が、そう言い返すと父様とロザリーおばちゃんが大笑いした。
ふーんだ。もう、僕はお兄ちゃんなんだから。

「で、名前はもう決めたのか?」
父様が聞いている。そう、何て名前なんだろう?早く教えてくれないと、僕困っちゃうや。
「ベルナールとずっと話していたの。マリーはどうかしらって・・」
「それは・・・」
「そう・・。あなたなら判るでしょ?」
「まあな・・。いい名前だ・・。マリーか・・・」
二人で話している。だけど、僕にはまだ難しいことは全然わかんないから、いいや・・。

父様はおばちゃんと何か話し出した。こうなると、長くなっちゃうんだ。
でも、いいや。こうして、マリーを見ていると僕なんだかとっても楽しいもん。
マリー・・・。こんにちは。
僕はアンジュだよ。今日から、僕がマリーのお兄ちゃんだよ。
僕ね、マリーに会えてとっても嬉しいや。これから、ずっとよろしくね。
僕がマリーをずーっと守ってあげるね。
ちっちゃな僕の妹、マリー・・・。