まいん様の「サロン」にも「帰郷3.   〜再びアンドレ〜」のイラストがございます。

この文章から出来上がったイラスト「『帰郷によせて』〜咲き零れる白い花のように〜」、ステキです・・・。

どうぞ、あわせてご覧下さいね☆☆☆

 
 
帰郷3.   〜再びアンドレ〜

一軒の家の前に、俺は立っていた。
夕暮れ近く、ようやくたどり着いた故郷のそこかしこに過ぎた歳月を認めながら、こ
こだけは時間が止まったかのようだった。
お袋と幼い俺が暮らした家。
色あせた壁と前より高く伸びた木々が、確かに時は流れたのだと告げている。
けれど、あまりにもかわらないそのたたずまいに、今にもお袋が扉を開け、笑顔で出迎えてくれるような気がして、俺はしばらくその場を動くことができずにいた。

「アンドレ?アンドレじゃないのか!?」
呼びかける声に振り向くと、男がひとり両腕をひろげて立っていた。
「ポール?」
「ああ、そうだ!ポール・ジュヴェだ!!」
俺たちは駈け寄り、しっかりと手を握りあった。
26年という歳月が、霧のように消え去っていく。

「いつ来るか、いつ来るかと心待ちにしていたんだぜ。連絡もないし、もう戻ってこ
ないのかと思ってた。
こいつ!やきもきさせやがって・・・。ウンとかスンとか言ってこいよ。」
「ごめん、ごめん。」
あやまる俺にポールはにやりと笑い、俺の肩をひとつ叩くと、おかえりと言った。
俺も笑って、ただいまと答えた。

「変わらないだろう?」
ポールがそう言って、目の前の家をあごでしゃくってみせた。
「ああ、驚いたよ。ここを出て行ったときのままだ。手入れしてくれてたんだな。あ
りがとう。」
「おふくろがね。」
「おばさんが?」
「いつ、おまえが戻ってきてもいいようにってな。
おふくろ、おまえのことが可愛くて仕方がなかったんだよ。
最後まで気にかけていた。アンドレ坊やはどうしているだろうってさ。」
「・・・そうか・・・・・。」
俺はアンヌおばさんの笑顔を思い出していた。
お袋は細くて華奢なほうだったが、アンヌおばさんは大柄な婦人で、コロコロとよく
笑う、暖かな人だった。
少ししんみりしてしまった俺の肩を、ポールはもう一度軽く叩くと、自分の家へと
誘ってくれた。

「ジジ!アンドレだ!!アンドレの奴が帰ってきたぜ!!」
扉を開けながらポールが大声で怒鳴った。
すると、エプロンで手をふきながら女が駆けだしてきた。
「アンドレ?本当にアンドレなの!?」
「ジジ?君、ジレット?あの泣き虫のおチビちゃんかい!?」
「そうよ、泣き虫のジジよ!」
ポールは、幼なじみのジレットと数年前に結婚していた。俺もよく知っている遊び仲
間だ。
ジジは嬉しそうに微笑むとお帰りなさいと言いながら、俺の頬にキスをした。
挨拶のキス。
最初は右に、それから左に。
ところが、左の頬に彼女が触れようとした瞬間、俺はジジの肩をつかみ彼女を引き離していた。
挨拶の拒否にジジは瞳を大きく見開き、眉をひそめた。
無意識の行為だった。
自分のしたことに驚き、俺は、固まってしまった空気をどうしようかとうろたえてし
まった。
「あ・・・ごめん、ジジ。あの、これには訳が・・・」
俺が詫びの言葉を言いよどんでいると、後ろで見ていたポールが突然笑い出した。
「ジジ、左側は彼女のもんだとさ!さわるんじゃないぜ!!」
ポールの言葉にジジも笑い出した。
ジジはもう一度右の頬にキスをして、大切な場所なのねとウインクしてみせた。
「そんなんじゃないよ。」
言いながら、自分で顔が赤くなるのがわかった。
左の頬。今朝オスカルの唇が触れたところ。
そこだけやけに温度があがったようで、俺はまいったなと、ひとつため息をついたのだった。


子ども達も交えにぎやかな夕食の後、俺は自分の家で休んだ。
「今日は疲れただろう?ゆっくり休みな。
だが、明日っからはそうはいかないぜ!
みんなおまえに会うのを楽しみにしてるんだから。
飲んで飲んで、飲みまくろうぜ!覚悟しとくんだな。」
俺を送りながら、ポールはそう言って笑った。
「話したいことが山ほどあるんだが、それもまた明日にしよう。」
おやすみと手を振って、ポールは帰っていった。

ひとり残された家の中、俺は故郷でもなくおふくろでもなく、オスカルのことを思っ
ていた。
俺のいない一日、彼女はどんな風に過ごしたのだろう。
困ったことはなかったろうか。
仕事は順調にすすんだろうか。
いくつもの心配とともに、今朝のオスカルを思い出す。
ふいに現れたあでやかな笑顔。
朝露に濡れたブロンドの髪。
密やかに震えていた睫。
突然頬に舞い降りた口づけと絡められた指。
彼女の唇と指先が触れた場所に、その温度が蘇ってくる。
そう、彼女の甘やかな香りも・・・
遠く離れたオスカルにお休みと告げて、その面影を抱きながら、俺はいつしか眠りへと落ちていった。


明くる日、ポールと連れだって両親とアンヌおばさんの墓へ出かけた。
俺は、途中で摘んだ野の花を手に、寄り添うように並ぶ墓の前に立った。
「ただいま、とうさん、かあさん。」
長い無沙汰を心の中で詫びながら、花を供える。

こんなに小さな墓だったろうか。
二つの十字架を見ながら、26年の歳月を改めて思い出す。
前にここに立った時、俺はまだ、8歳にもなっていなかった。
今の俺を、両親はどんな思いで、見つめているのだろう。
立派になったと、喜んでくれるだろうか。
それとも、先のない恋に捕らわれている息子を、憐れんでいるだろうか。

「こっちが、おふくろの墓だ。」
声の方を振り返ると、ポールがまだ新しい十字架の前に立っていた。
「アンヌおばさん、アンドレだよ。」
俺は、墓に向かって話しかけた。
「ずっと気にかけてくれてたんだね。一度も顔をみせないままで、ごめんよ。」
「かあさん、よかったな。アンドレ坊やが、訪ねてきてくれたぜ。」
ポールが、俺の後ろから声をかけてきた。
「・・・ポール、その、“アンドレ坊や”ってのは、いいかげんやめてほしいな。」
俺の抗議に、ポールはにやにや笑いながら
「確かに、こんなにどでかい坊やはいないやな。
まったく、よく育ったもんだ!」
そう言って、俺の背中をばんばんとどやしつけた。
「ってぇ・・・。」
俺が顔をしかめてみせると、
「坊やと言われて気にするのは、自分でもそうだと思っているからさ。
はは、おまえ、まだまだガキだな。」
「ガキで悪かったよ。」
俺は拗ねたように答えたが、心は弾んでいた。
こんな風に、誰かにこども扱いされるのは何年ぶりだろう?
甘やかされる心地よさなんて、もう、とうの昔に忘れてしまっていた。
おばあちゃんは、ジャルジェ家での立場もあって、俺にはいつも厳しかった。
甘やかされているオスカルが、うらやましかったっけ。
ああ、帰ってきたんだと、そのとき初めて、俺は故郷の暖かさに触れた気がした。

その夜は賑やかだった。
俺が帰ってきたことを知って、村にいる幼なじみが酒場に集まってくれたのだ。
みんな相応に年をとり、よき夫、よき父親になっていた。
「アンドレ、おまえ、まだ独身だって?」
俺と同じ年のアンリが不思議そうな顔で尋ねる。
「ベルサイユにいい女はいないのかい?」
「そんなことはないよ。」
「アンリ、そいつは逆だ。
いい女を見過ぎて、理想が高くなっちまったんだろう。
ベルサイユといやあ、美人の宝庫だろうからな。」
そう分析してみせるのは、セルジュだ。
こいつは、昔から理屈をこねるのが好きだった。はは、変わらないもんだな。
懐かしい顔と酒を酌み交わすのはいいものだ。
アラン達とパリで飲むのとは、また違った楽しさがあった。
昔の悪戯や、そのせいでこっぴどく叱られたことなんかで、俺たちは大いに盛り上
がった。

けれどどんなに騒いでいても、俺は忘れない。
豪華な黄金の髪と、サファイアの瞳を・・・・・。
ひんやりとした夜風に、窓からのぞく月に、オスカルを思う。
おまえも同じ月をみているだろうか、夜風に体を冷やしていないだろうか・・・・
・。
一週間とおまえは言った。一週間ならひとりでやれると。
だけどオスカル、俺の方が耐えられないかもしれない。
おまえと離れて、まだ一晩しか経っていないというのに、こんなにもおまえが恋し
い。
そばにいても、抱きしめることも唇を重ねることも叶わない俺だけれど、それでも、
こんなにおまえが恋しい。
笑いながら話しながら、こぼれた酒の滴で、俺は何度もおまえの名をテーブルの上に綴っていた。

次の日、俺はポールに家を譲りたいと申し出た。
今度帰ってきたのは、生家を処分することが目的のひとつだった。
ほとんど廃墟のようになっていると思っていたのに、ジュヴェ家のおかげで、古びて
はいるが手入れはしっかりとなされていた。
売れば、そこそこの値になるだろう。
俺は、この家をポールにもらってほしかった。
話を切り出すと、彼の目が丸く見開かれた。
俺を見つめ腕組みをして、ポールは何か考えているようだったが、しばらくして静か
にこう言ったのだ。
「アンドレ、帰ってこないか?」
思いがけない言葉だった。
「帰ってこないか、ここに、この村に。
こんな片田舎でも、パリの様子は耳に入ってくる。爆発寸前だっていうじゃないか。
三部会が開かれたからと言って、すぐさま暮らしがよくなるとは思えねぇ。だった
ら、ますますパリは荒れるんじゃないか?
そうなる前に、おまえ、帰ってこいよ。そうだ、左のほっぺの彼女を連れてさ。
ここは、おまえのふるさとなんだからさ。」
「ポール、それは・・・。」
「俺、しばらく船に乗ってたんだ。
その間に金をためて、ついこのあいだ、ぶどう園を買った。
小さいけどな。
俺と一緒にやってみないか?おまえが手伝ってくれるなら、百人力だ!」
一瞬、オスカルとこの村で暮らす俺の姿が見えた。幻のオスカルは、幸せそうに微笑んでいた。
瞬きする間の夢。決して叶うことのない・・・・・。
黙ってしまった俺に、急がなくていいから考えてみてくれと声をかけ、ポールは出て
行ってしまった。

ここに戻る?
ベルサイユを離れて?
それは、オスカルと離れてしまうということだ。
たとえ天と地がひっくり返ったって、彼女がここに来るなんてことはない。さっき見
たのは、幻にすぎない。
ここに戻れば、穏やかで優しい毎日が保証されるだろう。
人としてあるべき姿で、一生を終えることができるに違いない。
決してオスカルが俺のものにならないのなら、この恋にキリをつけ、新しい人生を生
きた方がいいのだろうか。
ポールや、夕べ騒いだ幼なじみたちのように、妻を持ち、子を育て、日々の営みに汗を流す暮らし。

恋するつらさに、何度思い描いたことだろう。
オスカルに別れを告げ、遠く離れた場所で生きていくことを・・・・・。
そのたび、それがどんなに不可能なのかを思い知らされてきた。
けれど今、実際にオスカルと距離をおいた場所で同じことを考えたとき、ふいに今までとは違った気持ちが芽生えてきた。
ここでなら、オスカルを知る前の自分を見つけられるこの場所でなら、新しい人生を
歩いていけるかもしれない。
忘れることはできなくても、彼女と離れて生きていくことはできるかもしれない。

こんなふうに思える自分に驚いた。
あんなにも恋いこがれていたオスカルではなかったか?
おまえに会いたいと焼け付くように思ったのは、まだ夕べのことだ。
こんなに簡単に切り離してしまえるのか?
物理的な距離というものは、心の距離まで簡単に支配できてしまうものなのか?
深い迷路に閉じこめられたようだ。
オスカル、俺はどうすればいい?おまえは俺に、どうして欲しい?
答えてくれ、オスカル・・・・・


その晩、夢を見た。
目の前に、オスカルが立っていた。
俺は今の姿だったが、オスカルはなぜかこどもだった。
――アンドレ、これをあげる。
オスカルは、胸の前で両手を合わせていた。小さな手の中に、大事そうに何かもっている。
俺は手を差し出した。手のひらにそっとのせられたのは、一粒の種だった。
――アンドレが育ててくれ。水をやって、光にあてて。病気にならないよう、虫に食
べられないよう、大切に育ててほしい。
「俺が育てるのか?おまえの花なのだろう?」
俺が尋ねると
――そうだよ。僕の花だけど、アンドレに見ててほしいんだ。アンドレは、何色の花
が好き?
「俺か?俺は白だな。」
俺が答えると、嬉しそうに笑うオスカルの姿がゆらゆらと揺らめいた。
「オスカル!?」
あわてて彼女の腕をつかまえる。
こどもだったオスカルは大人になり、紅の軍服を身にまとっていた。
手には一輪の花、いや、まだ堅いつぼみを持っている。
――アンドレ、花が咲かない・・・こんなに待っているのに、つぼみが開かない・・

オスカルはそう言うと、ほろほろと涙をこぼした。
「オスカル、大丈夫だ。きっと咲くよ。」
俺は急いでそう言ったが、オスカルはかぶりをふった。その姿があまりに儚げで、俺は思わず彼女に手を伸ばした。
頬を伝う涙をぬぐってやろうとしたとたん、また、オスカルの姿が揺らめき出す。
今度現れたオスカルは、俺の外套を着ていた。出発の朝、彼女に貸してやったもの
だ。
両腕にこぼれんばかりの花束を抱えている。よく見れば、これもつぼみだ。
けれどさっきと違って、それは今にもほころびそうなつぼみだった。
――アンドレ、もうすぐだ。やっと、私の花が咲くんだ。
オスカルは柔らかに微笑んで、まっすぐに俺をみつめる。
「よかったな、オスカル。どんな花が咲くんだろうな。」
俺が尋ねると、オスカルはわずかに頬を染めたように見えた。
――白い花だ、アンドレ。おまえ、好きだって言ったろう?
オスカルが言い終わらないうちに、彼女の手の中の花が開き始めた。ひとつ、またひとつ・・・。
やがて、すべての花が咲きそろい、オスカルは花の中に埋もれてしまいそうだった。
――見て、アンドレ。
オスカルはその花束を俺に差し出した。
「これはおまえの花なのだろう?やっと、咲いたんじゃないか。おまえが持っていた
方がいい。」
俺はオスカルに花束を返そうとした。
――これは私の花だけれど、おまえのものなんだ。おまえが咲かせてくれたのだから・・・。
そう言ってオスカルは、光がこぼれるように微笑んだ。


俺は、彼女から花束を受け取ろうとした。
彼女の指先に触れたとたん、目が覚めた。

まだ夜明け前だった。俺は勢いよく起き上がり、荷物をまとめだした。
 
帰ろう、オスカルのところへ・・・!
オスカルとともに生きること、それこそが俺の人生ではなかったか?
わずかの間でも、彼女と離れていられると思った自分が信じられない。
いつのまにか俺が帰る場所は、生まれ育ったこの場所ではなく、オスカルのそばに
なっていたのに・・・。
オスカルこそが、俺の故郷なのだ。
そうだ、彼女に出会ったときから、俺の人生は始まった。喜びも悲しみも、すべてが
彼女につながっていた。
本当の意味で俺に生きていることを知らしめてくれたのは、オスカルだった。

今、たまらなく、オスカルに会いたい。
あのキスのわけを、夢でみた花の意味を確かめたい。
オスカルが呼んでいるようで、気が急かれる。
俺は夜が明けるのを待ちかねて、ポールを訪ねた。

彼は何も言わなかった。
俺の旅装をみて、黙って右手を差し出した。
俺は両手でその手を握り、「ごめん。」と言った。
ポールは泣き笑いのような顔で、それでも頷いてくれた。それから、大きくため息を
ついた。

「ありがとう、ポール。みんなによろしくな。会えて嬉しかったよ。」
「ああ。」
「家のことは、また改めて連絡するから。」
「わかった。」
「それじゃあ。」
手を挙げて、馬を駆けさせようとしたときだった。
「オスカル。」
唐突にポールが口にした名に、俺は心臓が止まりそうになった。
「オスカルっていうのか、ほっぺの彼女は。」
「どうしてそれを・・・。」
「おまえ、テーブルに何度も書いてただろう?ほら、酒場でさ。・・・オスカルっ
て、確かお屋敷のお嬢様だったよな。」
「そう。俺の主人だ。」
「そして、恋人ってか。」
「そんなんじゃないよ・・・・・ただ、とても大切に思ってる。あいつを悲しませる
ようなことだけは、したくないな。」
どんなに言葉を尽くしても、オスカルへの思いは語りきれるものじゃない。
そんな俺の気持ちをわかってくれたのだろう。ポールは俺の背中をひとつ、ばしんと
叩いた。
「気をつけてな!。」
「ありがとう、ポール!元気で!!」
俺は手を振ると、馬の腹を蹴った。いつでも戻ってこいというポールの声が、送り出
してくれた。


村を出る前に、もう一度墓地に向かった。三つの十字架に頭を下げる。
若くして逝った父と母、そして優しかったアンヌおばさん。
両親が生きていたなら、ジャルジェ家に行くことはなかった。
アンヌおばさんの死を知らなければ、この村へ戻ることはなかった。

そばにいてこそ、わかることがある。
離れてみて、初めて知るものがある。

それとは気づかないままに辿ってきた道だった。
けれどそこに、人には見えない大いなるものの存在があることに、俺は祈りと感謝を捧げた。

今日は、休暇4日目。
夜には、おまえの驚く顔がみられるだろう。
約束の1週間に3日も残したんだ、喜んでくれよ、オスカル。


この道は、オスカルへと続いている。
溢れる彼女への思いを胸に、俺は駆ける。
確実に縮まっていく俺たちの距離。
今夜、おまえにただいまを言うとき、ふたりの心の距離も少しは縮まっているだろう
か。
オスカル、おまえの胸の内を、少しは覗くことができるだろうか。
いや、そこにどんな答えがあったとしても、もう俺の心が揺れることはないだろう。
オスカル、俺は死ぬまで、おまえの影だ。
たとえ何がおころうとも、俺はおまえを愛するだろう。この命の続く限り・・・!

今日も空は青い。
澄んだ空に向かい、何度もおまえの名を呼びながら、俺は自分のあるべき場所へと帰っていく。
オスカルという、愛しい故郷へ・・・・・。